なぜ母は父をけなし続けたか
父と母の出会い
田舎生まれの貧乏育ちで学歴もなくブルーカラーの父はズルくて調子のいい人。
父は田舎の貧乏な家で育ち、借金取りに追われるような生活だったそうで、親(私の祖父)はるばる大阪まで来て働いていたそうです。家族関係も希薄で、方言のために学校ではいじめられ、、なかなか大変な青春時代だったと思います。ボロいアパートに両親と隣同士で住んでいました。母はそんな父を馬鹿にしていました。(父親似の私もバカにされてましたが)
そんな父と母が出会ったのは、母が短大を出て働き始めたころ、母の父親(私の祖父)が早くに亡くなってしまい、とても心細い時期のお見合いです。
父は、背も高く、割とハンサムな方だと思うのですが、当時アフロヘアだったせいか、収入の低さのせいか、性格のせいかわかりませんが、どうやらあまりモテなかったようです。お見合いを何度かしたものの、衝撃的に変な人ばっかりだったそうで、落胆していたみたいです。
「実家の金」目当て VS「背の高さ」目当て
母は母で、早くに自分の父親が亡くなったことに焦っていたとは言え、結婚の基準が「背の高さ」だったので、私から言わせてもらえば、そりゃそうだろと言う結果です。お見合いなのですから、実家のこともわかるし、学歴のこともわかるし、収入の事だってわかって、の結婚だったはずです。「油まみれの作業服を洗うんじゃなくって、白いワイシャツにアイロンをかける生活がしたかった」なんで、言う方が間違っていると思います。
ここは、私の母と母の母親(私の祖母)の間で話が食い違うのですが、私の祖母はこの結婚を止めたそうです。でも、母が「どうしても」と言うので結婚を進めることになったそうです。母は父が「結婚してくれなかったら死ぬ」と言われて結婚したというので、まあなんというか、母はウブで世間知らずだったということでしょうか。
いつも私の母は父の、貧乏と世間知らずさをバカにしていました。例えば、結婚後初めてのクリスマスに母が「キャンドルを買ってきて」とお願いしたところ、父が買ってきたのは”仏壇用のおかめろうそく”だったそうです(笑)大好き同士の2人であれば、こんな話は笑い話になるのですが、今でもこの話をものすごい嫌悪をしながら話します。
電子レンジを使ったことがないとか、お好み焼きを知らないとか。(田舎をバカにしてる)初孫(私)を連れて帰った時出迎えてもくれなかったとか(子どもが嫌いなんでしょう)働きに出たいから子供の面倒を見てくれといったら拒否されたから私は働けなかったんだとか(自分だって私の子どもの面倒なんてよう見ないくせに)母の批判は差別的だし、自分勝手な意見もおおいに含まれていますが、父の両親も、母の実家の財産にある程度期待をし、「田舎に戻れば立派な家がある」などの嘘をついたり「嫁入り道具の家電製品は全てナショナルじゃないと」なんてことをのたまったりしていたので、どっちもどっちという所でしょう。
怒った母の声はマシンガンのように早口かつヒステリックな大声で畳み掛けるように次々とののしりの言葉が出てくるのには、感心します。近所の人はどう思っていただろうと思いますが、世間体に配慮する自制心はなく、母はヒステリーを抑えられないようでした。
この頃からなのか、もう少し後(前)からなのか、分かりませんが、
父はこの後長きに渡る不倫をするようになりました。
父の肩を持つわけではありませんが、父がいくらろくでもない人とはいえ、こうも毎日毎日貶され罵られては、プライドが傷ついたでしょう。
不倫をしたくなる気持ちもわからなくはありません。(私が家出した気持ちと同じでしょう)しかし、離婚はしないところが父のしたたかさです。裕福な母の実家を、手放したくなかったのです。
こう書くと、父だけが卑怯なように思いますが、
母も非常に依存体質で自分の実家にかなり依存しつづけました。金銭的にも精神的にもです。
結婚直後まだ働きに出ていた頃は、晩ご飯のおかずを自分の親に作ってきてもらい、地下鉄の駅で受け取っていたと言います。子供(私)が生まれた時には、「私は眠たいんだから!お母さん見といて!」とかいう態度です。実家に入り浸っては、まだ子供のいない姉嫁に離乳食を作ってもらったり、それを当然のことのように考えていました。
何かあれば常に実家と相談、すぐに実家へ帰り、お金だって自分が働きに出るのではなく実家に頼めば何とかなるというスタンスなのです。
(自分が働けば父が働かなくなる、給料を入れなくなるという理由をつけていました)
何度となく「もう離婚する!!」といって実家に戻り、優しい母と兄のいる実家で甘えさせてもらっていました。(お兄さん(私の叔父)は私たち兄弟を引き取るから離婚しなさいと言いましたが、兄嫁はとんだ迷惑だったでしょう。)
私が母と喧嘩して(喧嘩というか・・・)おばあちゃん家にいく!みたいなことを言った時には「分かってるか、お母さんがいてのおばあちゃんや。お母さんがいなかったらあんたなんて何も構ってもらわれへん!」などといったこともありますから、
まあ母自身も「実家が切り札」「実家が心の拠り所」という意識で、しかもそれが自分の価値であると勘違いしていました。残念です。
「実家の金」が原因
ここまで書いて、父と母のひどい不仲は「母の実家に金」があったことに起因している気がします。
しかし皮肉なことに母の愛する息子は今縁談があって、見事な逆玉婚です。
どうするかは本人が決める事ではありますが、因果なものです。
母もこの縁談に気落ちしているようです。
で、結局の所、母が父を貶し続ける理由ですが
・ そもそも「上流で、頭も良く、顔やセンスもイケていて、モテる、愛されるべき存在の私」というプライドが高いというのがベースにあるのに
・ 自分ではなく、実家のお金が目当てで結婚したんでしょ?という悔しさ
・ 不倫により自分が都合がよく、無価値なものと思われている悔しさ
があって、ひたすら父を貶し、攻撃し続けたのです。たぶんね。
それでも離婚しないのは父に依存しているからです。母は父がいなければ何もできないんです。